「大切な人と一緒に暮らしていきたい」と思っても、その先にある関係の形を、すぐに一つへ決められるとは限りません。
法律婚を望むのか、パートナーシップ宣誓制度を利用するのか、まずは二人で生活を重ねたいのか。性的指向や性自認について、家族や職場へどこまで伝えるのか。LGBTQ+の方がパートナーとの将来を考えるときは、二人の気持ちだけでなく、制度、住まい、医療、家族との距離など、いくつもの現実が重なります。
この記事では、札幌市が公開している情報をもとに、札幌市パートナーシップ宣誓制度の基本と、二人の暮らしを考えるときの整理ポイントを紹介します。関係の形を外から決めるためではなく、自分たちが落ち着いて暮らせる選択を考えるための記事です。
目次
LGBTQ+のパートナーシップを考えるとき、迷いが増えやすい理由
将来を考えるときに迷うこと自体は、関係が弱いからではありません。二人の希望と、現在利用できる制度や周囲との関係を、同時に考えなければならないためです。
「家族に話さずに進めてよいのか」「病院や住まいの手続きで困らないか」「札幌から転居したら制度はどうなるのか」「そもそも自分は結婚という言葉を望んでいるのか」。こうした問いは、一度に答えを出そうとすると重くなります。
気持ちの問題と、手続きの問題を分ける
まず分けたいのは、「二人がどのような関係でいたいか」と「現在の制度で何ができるか」です。制度を利用するかどうかは大切ですが、制度が二人の関係の価値を決めるわけではありません。
気持ちの整理がまだ必要な方は、結婚したいのかわからないときの整理も参考になります。法律婚を前提にしなくても、「誰と、どのように暮らしたいか」を考えるところから始められます。
札幌市パートナーシップ宣誓制度の基本
札幌市では、一方または双方が性的マイノリティである二人を対象に、パートナーシップ宣誓制度を設けています。二人が互いを人生のパートナーとして、日常生活で協力し合うことを約束した関係であることなどを市長に宣誓し、市から受領証と受領カードの交付を受ける制度です。
対象要件、必要書類、予約方法、利用できる行政サービスは変更される可能性があります。手続きを考える際は、必ず札幌市パートナーシップ宣誓制度の公式ページで最新情報を確認してください。
対象となる二人
札幌市の案内では、双方が成年であること、どちらか一方が札幌市内に住所を持つか転入予定であること、双方に配偶者や別のパートナーシップ関係がないことなどが要件として示されています。戸籍上の性別変更や同居は、公式ページに示された対象要件には含まれていません。
宣誓までの流れ
原則として希望日の約1週間前までに予約し、住民票、独身を証明する書類、本人確認書類などを準備して、二人で手続きを行います。札幌市は、希望に応じて別室を用意するなど、プライバシーへの配慮も案内しています。
札幌市のLGBT関連施策、相談窓口、イベント、フレンドリー企業などをまとめて確認したい場合は、札幌市「性的マイノリティ(LGBT)に関する取組」をご覧ください。
制度と法律婚を同じものとして考えない
札幌市は、パートナーシップ宣誓書の受領証と受領カードについて「法的な効力を有するものではない」と明記しています。制度を利用することには、二人の関係を市へ宣誓し、受領証等を提示して利用できる行政サービスがあるという意味があります。一方で、法律婚と同じ権利や義務が自動的に生じるものではありません。
だからこそ、「制度を利用したから全部安心」「法的効力がないから意味がない」という二択ではなく、自分たちの生活で何に役立つかを確認することが大切です。
利用できるサービスは個別に確認する
札幌市は、受領証の提示などにより利用できる行政サービスの資料を公開しています。ただし、利用の可否や具体的な手続きは、それぞれの担当部署へ確認するよう案内しています。
住まい、勤務先の福利厚生、医療機関での対応、保険、財産や将来の備えなどは、制度だけで一律に決まるものではありません。必要に応じて、市の担当窓口だけでなく、法律や契約の専門家へ相談することも検討してください。
二人の暮らしで先に話しておきたいこと
パートナーとの将来を考えるとき、最初にすべてを決める必要はありません。ただ、制度の名前を決める前に、生活の中で守りたいことを話しておくと、選択が見えやすくなります。
住まいと転居
札幌は同じ市内でも、地下鉄中心の生活と車中心の生活で負担が変わります。通勤、冬の除雪、実家との距離、通院などを含めて、どこで暮らすと二人の負担が偏りにくいかを考えます。
札幌市は2025年4月から、パートナーシップ制度自治体間連携ネットワークに加入しています。連携自治体へ転居する場合の手続きについては、札幌市の自治体間連携ネットワーク案内で確認できます。
家族や職場へ伝える範囲
カミングアウトは、誰にでも同じように行うものではありません。安全や生活への影響を考えながら、伝える相手、時期、内容を二人で決めてよいものです。一方だけが話すことを急ぎ、もう一方が強い不安を抱えると、関係そのものが苦しくなることがあります。
お金と将来の備え
家賃や生活費の分担、緊急時の連絡、病気になったとき、仕事を休む必要が出たとき、老後の住まい。すぐに結論が出なくても、話題にできる関係かどうかは大切です。
これはLGBTQ+のカップルだけの課題ではありませんが、利用できる制度や周囲への説明が一律ではないからこそ、二人に合う備えを具体的に確認する意味があります。
相談先を選ぶときに確認したいこと
恋愛、同居、将来設計について誰かに相談したいときは、「LGBTQ+に理解があります」という表示だけで決めず、実際にどの範囲まで対応できるかを確認しましょう。
希望する呼び名や代名詞を尊重してもらえるか
相談内容や個人情報がどのように扱われるか
パートナー探し、関係相談、制度案内のうち、どこまで対応できるか
利用する紹介システムに性別等の登録条件があるか
対応できない場合に、適切な窓口を案内してもらえるか
結婚相談所のサービスや会員紹介システムには、それぞれ利用条件があります。LGBTQ+に関する相談を受け止めることと、希望する条件で紹介サービスを提供できることは同じではありません。問い合わせの段階で、希望する支援内容を具体的に伝え、利用可能な範囲を確認することが大切です。
人目が気になり、落ち着いた場所で話したい方は、人目を避けて相談したい方へも参考にしてください。入会を決めずに話を聞きたい場合は、結婚相談所は相談だけでも大丈夫?で、相談前に確認したいことを整理しています。
Re:Start SapporoのLGBTQ+の方への対応方針
Re:Start Sapporoでは、性的指向、性自認、性表現などを理由とする差別やハラスメントを行いません。相談される方が希望する呼び名を尊重し、相談内容や、ご本人から伺った性的指向・性自認に関する情報を、ご本人の同意なく第三者へ伝えません。
ご相談は、JLCA認定婚活カウンセラーが担当します。結婚やパートナーとの暮らしについて、まだ希望が固まっていない段階でも、外から関係の形を決めつけず、何を大切にしたいのかを一緒に整理します。
希望する呼び名を尊重します
相談内容と個人情報の秘密を守ります
法律婚や特定の関係の形を一方的に勧めません
紹介システムの利用条件と、当相談所が対応できる範囲を事前に説明します
対応できない内容は曖昧にせず、必要に応じて公的窓口や専門機関をご案内します
性別を入力せずに相談したい場合は、お問い合わせフォームをご利用ください。お問い合わせフォームでは、性別の入力を求めていません。IBJの会員紹介システムには登録条件があるため、すべてのご希望に対して紹介サービスを提供できるとは限りませんが、相談の段階で事情を伺い、利用できる支援と難しい支援を分けてご説明します。
関係の名前より、二人が守りたい生活から考える
法律婚、パートナーシップ宣誓、同居、別居を続けながら支え合う関係。どの言葉を選ぶとしても、外から見た分かりやすさだけで二人の生活を決める必要はありません。
まず話したいのは、どこで暮らしたいか、何を安心と感じるか、家族や職場との距離をどうしたいか、困ったときにどのように支え合いたいかです。そのうえで、札幌市の制度が自分たちにとってどのような意味を持つのかを確認します。
Re:Start Sapporoへのご相談を検討される場合は、紹介サービスを利用できるかどうかも含め、ご希望の支援内容を事前にお問い合わせください。対応範囲を曖昧にしたまま入会を勧めることはありません。
まだ関係の形を決めていない段階でも、何を確認したいのかを整理するところから始められます。
紹介サービスの利用条件は、希望する活動内容と現在の仕組みを確認したうえでご案内します。
執筆:Re:Start Sapporo JLCA認定婚活カウンセラー
制度や手続きは変更されることがあります。最新情報は札幌市の公式ページでご確認ください。
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